はじめに
これまで2回にわたり、「管理職」というテーマから組織について考えてきました。
第1回では、企業を取り巻く環境が変化する中で管理職への期待も変化していること、そして「期待される役割」と「実際の役割」を整理することの重要性を考えました。
第2回では、「組織の現在地」が管理職への期待を形づくること。そして、「役割・期待・関係・文化」という4つのレンズから管理職を見ることで、その背景にある組織を読み解けることを考えました。
では、組織の特徴や課題が見えてきたとき、次に何をすればよいのでしょうか。
「管理職を育成しよう」の前に
般的に、管理職に課題があると感じると、
「管理職を育成しよう」
という議論になります。
もちろん、知識やスキルを身につけることは重要です。
マネジメントを学ぶ。
部下との対話の仕方を学ぶ。
人材育成について学ぶ。
リーダーシップを学ぶ。
こうした取り組みには意味があります。
しかし、ここまで見てきたように、管理職は組織から切り離された存在ではありません。
どのような役割を担うのか。
どのような判断を求められるのか。
どこまで権限が与えられているのか。
何を評価されるのか。
人材育成にどれだけ時間を使えるのか。
どのような組織文化の中で仕事をしているのか。
こうした要素によって、管理職の行動は大きく変わります。
だからこそ、
「管理職に何を学んでもらうか」
と同時に、
「その役割を実践できる組織になっているか」
を見る必要があります。研究レポート第5章も、管理職の行動は組織の現在地、期待、権限、評価制度、文化などによって形づくられると整理しています。
管理職に表れている課題は、組織の課題かもしれない
例えば、
「管理職へ仕事が集中している」
という課題があるとします。
管理職本人が仕事を抱え込んでいる可能性もあります。
しかし、その背景には、
仕事が属人化している。
部下へ任せられる仕事が整理されていない。
次のリーダーが育っていない。
権限委譲の範囲が明確になっていない。
といった要因があるかもしれません。
同じように、
「管理職が判断できない」
「部下が育たない」
「部門間で連携できない」
という状態も、管理職個人だけでは説明できないことがあります。
管理職に関する悩みの背景には、
役割設計。
期待の共有。
人材育成の仕組み。
権限委譲。
組織文化。
といった、組織全体のあり方が影響していることがあります。
つまり、
管理職は、組織の課題が表れやすい存在でもある
ということです。
だからといって、管理職自身の成長が不要なわけではない
ここで一つ、注意しておきたいことがあります。
管理職の行動に組織が影響しているからといって、
「管理職本人は変わらなくてよい」
ということではありません。
管理職自身が学ぶこと。
新しい役割を理解すること。
これまでの仕事の仕方を見直すこと。
部下との関わり方を変えること。
自ら考え、判断できる力を高めること。
こうした成長も必要です。
一方で、管理職自身が変わろうとしても、その行動を支える環境が整っていなければ、実践は続きにくくなります。
重要なのは、
「管理職を変えるのか、組織を変えるのか」
という二者択一にしないことです。
管理職が成長する。
その成長を組織が支える。
組織が変わることで、管理職が新しい役割を果たしやすくなる。
その管理職の行動によって、部下やチームにも変化が生まれる。 この循環をつくることが重要です。
管理職を見ることは、経営を見ることでもある
管理職にどのような役割を与えるのか。
どこまで判断を任せるのか。
何を評価するのか。
人材育成にどれだけ時間を使ってもらうのか。
これらを決めるのは、管理職本人だけではありません。
そこには、経営の考え方が表れます。
例えば、
「もっと主体的に判断してほしい」
と言いながら、重要な判断はすべて経営者が行っている。
「人材育成を重視してほしい」
と言いながら、評価では短期的な業績だけを重視している。
「部門間で連携してほしい」
と言いながら、部門ごとの目標だけを追っている。
こうした状態であれば、管理職だけに変化を求めても限界があります。
管理職について考えることは、
「経営として、どのような組織をつくりたいのか」
を考えることでもあるのです。
管理職の成長と、組織の成長を切り離さない
研究レポートNo.002で、私たちが最も伝えたかったことはシンプルです。
※【研究レポートNo. 002】は弊社ホームページをご覧ください➡ https://saitama-suslab.com/report/
管理職を見ることは、組織を見ること。
管理職が抱える悩みには、組織の課題が表れます。
管理職への期待には、組織が目指す未来が表れます。
管理職の判断には、組織文化が表れます。
だからこそ、
管理職を育成することと、組織を育てることは、切り離して考えることができません。
「理想の管理職像」を追い求めることが目的ではありません。
まず、自社の現在地を理解する。
その現在地にふさわしい管理職の役割を整理する。
そして、管理職がその役割を果たせる組織をつくる。
管理職を変えること自体が目的なのではなく、
管理職という存在を通して組織を見つめ直し、組織全体がより良く変わっていくこと。
それが、研究レポートNo.002で最も伝えたかったメッセージです。
シリーズを通して
全3回にわたり、「管理職を通して組織を見る」という視点から考えてきました。
第1回では、
管理職への期待と、実際に担っている役割を見る。
第2回では、
「役割・期待・関係・文化」の4つのレンズから、管理職の背景にある組織を見る。
そして最終回では、
管理職の成長と、組織の成長を切り離さない。
というところまで考えてきました。
研究レポートNo.002は、「理想の管理職像」を示すものではありません。
また、管理職を評価するためのものでもありません。
管理職という存在を手がかりに、自社の組織そのものを見つめ直す。
そのためのレポートです。これは「はじめに」で示されたNo.002の出発点とも一致しています。
■あなたの会社ではどうでしょうか?
□ 管理職に期待する役割を明確にできていますか。
□ その役割を果たせる組織になっていますか。
□ 管理職の姿から、その背景にある組織まで見ていますか。
□ 管理職を育てることと、組織を育てることを一つの取り組みとして考えていますか。
―管理職を変えることではなく、組織をより良くするために、今、何から始めるべきでしょうか。
この問いは、研究レポートNo.002の最後に置かれている問いでもあります。
自社の「組織の現在地」を確認してみませんか?
ここまで、「管理職を通して組織を見る」という視点から、管理職と組織の関係について考えてきました。
では、皆さまの会社の組織は、今どのような状態にあるでしょうか。
私たちは、自社の組織の状態を簡単に振り返ることができる「組織の現在地セルフチェック(15問)」をご用意しています。
15の質問に答えることで、
- 今の組織のバランスを確認する
- 自社の強みと課題に気づく
- 優先して取り組むテーマを整理する
ための簡易セルフチェックです。
管理職について考えることも、その背景にある組織について考えることも、まずは自社が今どこにいるのかを知ることから始まります。
ぜひ、自社の「組織の現在地」を見つめ直すきっかけとしてご活用ください。
▼ 組織の現在地アセスメント(15問版)▼
ご回答いただいた方には、内容を確認のうえ、
「現在地」「強み」「確認テーマ」を整理した診断レポート(フィードバック)
を登録いただいたメールアドレスに無料でお送りいたします。
※本アセスメントは、企業を評価することを目的としたものではありません。
組織の現在地を整理し、今後の対話や改善活動につなげるためのツールです。

