第2回約 300社との対話から見えてきた共通点②~採用・離職・管理職…すべては「人」の課題につながっていた~

目次

はじめに

前回は、約300社の地域企業との対話を通じて、「企業規模」ではなく「組織の現在地」で企業を見ることの重要性についてご紹介しました。

今回は、その対話の中で私たちが最も多く耳にした「人」の課題についてお伝えしたいと思います。もちろん、企業ごとに抱える課題はさまざまです。業種も規模も異なります。

経営環境も違います。

しかし、多くの企業の声を整理していくと、不思議なことに、さまざまな課題が一つのテーマへとつながっていました。

それが、「人」です。 採用、人材定着、管理職育成、シニア人材、人材育成、キャリア支援、組織風土。一つひとつは別のテーマのように見えますが、その背景には共通する組織の課題が存在していました。

「採用できない」より、「辞めてしまう」が深刻だった

企業との対話で最も多く聞かれたテーマの一つが、「採用」です。

「応募が来ない。」

「採用しても思うような人材と出会えない。」

「人手不足で仕事を断ることもある。」

このような声は、多くの企業で聞かれました。

一方で、採用の話をさらに伺っていくと、多くの企業で話題は自然と「定着」の話へ移っていきます。

「ようやく採用できても数年で辞めてしまう。」

「若手が育つ前に退職してしまう。」

「採用を繰り返しても組織が安定しない。」 つまり、本当の課題は「採用」だけではありませんでした。採用と定着は、切り離して考えることができないテーマだったのです。だからこそ、採用手法だけを改善しても、組織そのものが変わらなければ根本的な解決にはつながりません。私たちは、そのような企業を数多く見てきました。

管理職がプレイヤー化し、「育てる時間」がなくなっている

もう一つ、非常に多く聞かれたのが管理職に関する悩みです。

「管理職が忙しすぎる。」

「育成まで手が回らない。」

「1on1や面談が形だけになってしまう。」

「部下と話す時間がない。」

こうした声は、決して珍しいものではありませんでした。管理職自身も、一生懸命仕事をしています。しかし、多くの場合、本来担うべき「人を育てる」という役割よりも、日々の業務をこなす「プレイヤー」としての役割が大きくなっています。その結果、部下との対話が減り、育成が進まず、若手が将来を描きにくくなる。さらに離職が増え、採用が難しくなり、管理職の負担がさらに増える。 このような循環に陥っている企業も少なくありませんでした。もちろん、管理職個人の能力だけの問題ではありません。管理職が育成に時間を使える環境や組織の仕組みそのものが整っていないケースも多く見受けられました。

課題は別々ではなく、一つの循環になっている

約300社との対話を通じて、私たちが感じたのは、「人」の課題は一つひとつ独立しているわけではないということです。

例えば、

採用が難しい。

だから既存社員への負担が増える。

管理職はプレイヤー業務に追われる。

部下育成の時間が減る。

若手が成長を実感できなくなる。

離職が増える。

さらに採用が難しくなる。

このように、多くの課題は相互に影響し合っています。

また、シニア人材の活躍や人材育成、キャリア支援、社内コミュニケーションについても同じです。

どれか一つだけを改善すれば解決するというものではありません。

だからこそ、「採用支援」「管理職研修」「人材育成」とテーマごとに考えるだけではなく、組織全体を見ながら優先順位を整理していくことが重要になります。 これが、私たちが「組織の現在地」という考え方へたどり着いた理由でもあります。

今回のまとめ

約300社との対話を通じて見えてきたのは、「人」の課題は決して一つではなく、互いにつながっているということでした。

採用、離職、管理職、人材育成、シニア人材、キャリア支援。

一見すると別々のテーマですが、その背景には組織の状態や優先順位という共通の要素があります。 だからこそ、表面的な課題だけを見るのではなく、その背景にある組織の現在地を理解することが、より効果的な支援につながると私たちは考えています。

■あなたの会社ではどうでしょうか?

□ 採用よりも、定着の方が課題になっていませんか。

□ 管理職がプレイヤー業務に追われていませんか。

□ 若手を育成する時間が十分に確保できていますか。

□ 採用・離職・育成を、それぞれ別の課題として考えていませんか。

考えてみましょう。 ―あなたの会社で、今、最も大きな「人」の課題は何でしょうか。

次回について

では、企業の「組織の現在地」は、どのように整理すればよいのでしょうか。

次回は、私たちが約300社との対話を通じて整理した「地域企業 組織の現在地モデル」についてご紹介します。 企業を評価するためではなく、「次の一歩」を考えるための共通言語として、このモデルをどのような考え方で作ったのか、その背景も含めてお伝えします。


※本シリーズは、約300社の地域企業との対話を通じて得られた気づきや傾向をもとに執筆しています。個別企業を評価・紹介するものではなく、地域企業支援の一つの視点としてまとめたものです。

  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次