〜人が育ち続ける企業こそ、持続可能な企業である 〜
目次
- 〜人が育ち続ける企業こそ、持続可能な企業である 〜
- 1.サステナブル経営は“環境対応”だけではない
- 2.企業の持続可能性を左右するのは“人が育ち続ける力”
- 3.キャリア支援は福利厚生ではなく、経営課題である
- 4.キャリアが見えない職場で起きること
- 5.第1回のまとめ
- お知らせ
1.サステナブル経営は“環境対応”だけではない
サステナブル経営という言葉を聞くと、環境への配慮、脱炭素、地域貢献、社会課題の解決といった取り組みを思い浮かべる方が多いかもしれません。
もちろん、それらはサステナブル経営において非常に重要なテーマです。しかし、企業が本当の意味で持続可能であり続けるためには、もう一つ欠かせない視点があります。
それは、そこで働く人が、自分の力を発揮しながら成長し続けられるかという視点です。
どれだけ立派な経営理念やサステナビリティ方針を掲げていても、それを実行するのは人です。新しい事業を生み出すのも、顧客との関係を築くのも、現場で改善を積み重ねるのも、すべて人の力によって成り立っています。
つまり、企業の持続可能性を考えるうえで、従業員一人ひとりの成長や働きがい、キャリア形成を支えることは、避けて通れない経営課題なのです。
近年、「人的資本経営」という言葉が広く使われるようになりました。経済産業省は、人的資本経営を「人材を『資本』として捉え、その価値を最大限に引き出すことで、中長期的な企業価値向上につなげる経営のあり方」と説明しています。
これは、人材を単なる労働力やコストとして見るのではなく、企業価値を生み出す重要な資本として捉える考え方です。
この考え方は、サステナブル経営とも深く重なります。サステナブル経営とは、短期的な売上や利益だけを追い求めるのではなく、社会や環境との関係性を踏まえながら、企業が長期的に価値を生み出し続けるための経営です。
そのためには、事業を支える人材が、変化に対応し、自ら学び、役割を広げ、組織の中で力を発揮し続けられる状態をつくる必要があります。
2.企業の持続可能性を左右するのは“人が育ち続ける力”
いま、多くの企業を取り巻く環境は大きく変化しています。
少子高齢化による人手不足、働き方の多様化、デジタル化、脱炭素への対応、価値観の変化など、企業はこれまでの延長線上だけでは成長しにくい時代に入っています。
こうした変化の中で重要になるのは、単に新しい人材を採用することだけではありません。
今いる社員が、自分の経験や強みを見つめ直し、これからの事業にどう貢献できるのかを考え、必要な学びや挑戦に向かえることです。
同じ知識、同じ働き方、同じ役割のままでは、変化する事業環境に対応し続けることは難しくなっています。だからこそ、リスキリング、キャリア自律、役割の再設計といった取り組みが必要になります。
たとえば、これまで現場の実務を中心に担ってきた社員が、今後は後輩育成や業務改善の役割を担うこともあります。長年培ってきた専門性を活かしながら、新たな技術や知識を学び直すこともあります。管理職であれば、業務を管理するだけではなく、部下の成長やキャリア形成を支える役割がますます重要になります。
企業が変化に対応できるかどうかは、そこで働く人が変化に対応できるかどうかに大きく左右されます。
人が学び続ける企業は、事業も変化し続けることができます。
人が自分の役割を見直せる企業は、組織の力を引き出すことができます。
人が成長し続ける企業は、環境変化に対しても柔軟に対応できます。
つまり、企業の持続可能性を支える土台には、人が育ち続ける力があるのです。
3.キャリア支援は福利厚生ではなく、経営課題である
企業におけるキャリア支援というと、「社員の悩み相談」「個人の将来設計の支援」「転職を考えている人への相談対応」といったイメージを持つ方もいるかもしれません。
しかし、企業におけるキャリア支援は、それだけにとどまるものではありません。
本来のキャリア支援とは、社員一人ひとりが自分の経験、強み、価値観、今後の成長課題を整理し、現在の仕事やこれからの役割と結びつけて考えられるようにする取り組みです。
そして、その結果を人材育成、配置、役割設計、リスキリング、組織づくりへとつなげていくことが重要です。
つまり、キャリア支援は福利厚生ではなく、経営の仕組みなのです。
社員が自分の強みや課題を理解すれば、主体的に学ぶ姿勢が生まれます。自分の仕事の意味を再確認できれば、エンゲージメントの向上につながります。今後担いたい役割や不安が明らかになれば、企業は配置や育成を考えやすくなります。
また、社員一人ひとりのキャリアに向き合うことで、組織全体の人材課題も見えやすくなります。
どの年代に不安が多いのか。
どの層が成長実感を持ちにくいのか。
どの部署で役割の見直しが必要なのか。
どのような学び直しの機会が求められているのか。
こうした情報は、企業が人材戦略を考えるうえで非常に重要です。
厚生労働省も、企業におけるキャリア形成支援の一つとして「セルフ・キャリアドック」の導入を促進しています。セルフ・キャリアドックとは、企業が人材育成ビジョンや方針に基づき、キャリアコンサルティング面談とキャリア研修などを組み合わせ、体系的・定期的に従業員の主体的なキャリア形成を支援する企業内の仕組みとされています。
これは、社員個人のためだけでなく、企業の人材育成や若手社員の定着支援、生産性向上にもつながる取り組みとして位置づけられています。
だからこそ、キャリア支援は「社員に優しい会社づくり」のためだけに行うものではありません。社員の成長と企業の成長をつなげる、重要な経営課題として捉える必要があります。
4.キャリアが見えない職場で起きること
では、企業内にキャリアを支援する仕組みがない場合、どのようなことが起きるのでしょうか。
まず、若手社員は将来像を描きにくくなります。
入社して数年が経ち、「この会社でどのように成長できるのか」「自分は何を期待されているのか」「今の仕事が将来にどうつながるのか」が見えない状態が続くと、不安や停滞感が高まります。
その結果、まだ十分に力を発揮しきる前に、離職を考えることもあります。
次に、中堅社員は成長実感を失いやすくなります。
中堅社員は、現場の中心として多くの業務を担う存在です。一方で、管理職を目指すのか、専門性を深めるのか、後輩育成に力を入れるのか、自分の次の方向性に迷いやすい時期でもあります。
日々の業務に追われる中で、自分の成長や今後のキャリアを考える機会がなければ、「このままでよいのだろうか」という停滞感を抱きやすくなります。
この層が力を発揮できなくなると、組織全体の推進力にも影響します。
さらに、ミドル・シニア層は役割の変化に戸惑いやすくなります。
長年の経験や知識を持ちながらも、それを現在の事業や組織の中でどう活かすのかが明確でなければ、本人も企業もその力を十分に活用できません。
人生100年時代と言われる中で、年齢を重ねた社員のキャリアをどう支えるかは、企業にとってますます重要なテーマになっています。
また、管理職にとっても、部下のキャリア支援は簡単なことではありません。日々の業務管理や評価面談は行っていても、部下の将来や成長の方向性について、どのように対話すればよいのかわからないという管理職も少なくありません。
その結果、面談が業務進捗の確認や評価の説明だけで終わってしまい、部下のキャリアを支援する機会になっていないケースもあります。
こうした問題は、個人の意欲だけの問題ではありません。
企業の中に、社員が自分のキャリアについて考え、対話し、成長につなげる仕組みがあるかどうかの問題です。
若手が将来像を描けないことも、中堅が成長実感を失うことも、ミドル・シニアが役割の変化に戸惑うことも、本人だけに原因があるわけではありません。
企業側に、キャリアを支援する仕組みがないことも大きな要因なのです。
5.第1回のまとめ
サステナブル経営において大切なのは、企業が社会に対してよい取り組みを行うことだけではありません。
企業自身が、長く価値を生み出し続けられる状態をつくることです。
そのためには、事業を支える人材が、変化に対応しながら力を発揮し続けることが欠かせません。
社員のキャリア支援は、まさにその土台となる取り組みです。
これからの企業には、社員に対して「自分のキャリアは自分で考えてください」と突き放すのではなく、「自分のキャリアを考える機会を会社として用意します」「その思いを対話の中で受け止めます」「会社の方向性と個人の成長をつなげていきます」という姿勢が求められます。
それは、社員に迎合するということではありません。
企業の成長と社員の成長を切り離さずに考えるということです。社員一人ひとりの可能性を引き出し、その力を組織の価値創造につなげていく。これこそが、人的資本経営であり、サステナブル経営の実践でもあります。
サステナブル経営を進めるうえで、環境対応や社会貢献はもちろん重要です。しかし、それらを実行し、継続し、発展させていくのは人です。
だからこそ、企業は従業員のキャリア支援を、単発の研修や個人任せの取り組みで終わらせるのではなく、経営の中に位置づける必要があります。
人が育ち続ける企業は、変化に強い企業です。
人が自分の役割を見出せる企業は、組織の力を引き出せる企業です。
そして、人の可能性を活かせる企業こそ、持続可能な企業です。
次回は、社員のキャリア支援を「良い取り組み」で終わらせず、企業内の仕組みとしてどのように設計していくのかを考えていきます。
お知らせ
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