【中小企業×中小企業×自治体】フードループが描く地域循環モデル
目次
- ◆はじめに
- ◆参加企業・自治体紹介
- ◆コラボ背景と目的
- ◆具体的な取り組み
- ◆社会課題解決への効果
- ◆課題と展望
- ◆まとめ
- ◆お知らせ
◆はじめに
近年、持続可能な社会の実現に向けて「サーキュラー・エコノミー(循環型経済)」の取り組みが注目されています。従来の大量生産・大量消費・大量廃棄という直線的な経済モデルから脱却し、資源を循環させて活用する仕組みづくりは、環境負荷の低減だけでなく地域経済や人々の暮らしにも大きな恩恵をもたらします。
そのなかで、横浜市が推進する「サーキュラー・エコノミー+」の一環として行われている、横浜市内のビール会社・横浜市内の環境保全会社・山梨県のとある村の3者協働によるフードループの事例は、中小企業と自治体がタッグを組むことで新しい循環モデルをつくりだしている先進的な取り組みです。
本コラムでは、この事例をもとに、参加企業や自治体の紹介、取り組みの背景と目的、具体的な活動内容、社会課題解決への効果、さらに今後の展望について考察します。
◆参加企業・自治体紹介
まずは、このプロジェクトを推進する主要なプレイヤーについてご紹介します。
🔼横浜市内のビール会社
市を代表するクラフトビールメーカーで、地域に根差したビールづくりを行っています。ビールづくりの副産物として生じる「ビールかす(麦芽かす)」の活用を模索するなかで、循環の仕組みに積極的に取り組んでいます。
🔼横浜市市内の環境保全会社
市内で環境事業を展開する企業で、廃棄物処理やリサイクルのノウハウを持っています。ビールかすを堆肥化し、農業に活かすというプロセスにおいて中心的な役割を果たしています。
🔼山梨県のとある村
横浜市民の水源であるこの村は、横浜市との長年の交流関係があります。豊かな自然と農業資源を背景に、堆肥を使った農産物の生産を担い、地域循環の重要な拠点となっています。
この三者がそれぞれの強みを生かし、役割を分担しながら協働することで、資源の循環と地域経済の活性化を実現しているのです。
◆コラボ背景と目的
取り組みの背景には、2つの大きな課題がありました。
🔼1つ目は、ビールづくりに伴う副産物の処理です。クラフトビールの製造過程で大量に発生するビールかすは、栄養価が高い一方で処理が難しく、多くの場合は廃棄されてきました。これを有効活用することができれば、廃棄物の削減と新たな価値創出が可能になります。
🔼2つ目は、地域資源の循環と関係人口の拡大です。横浜市にとって重要な水源を提供する山梨県のこの村は、人口減少や高齢化といった課題を抱えています。そこで、横浜市とのつながりを活かしつつ、農産物を通じて都市と農村の循環関係を築くことが模索されました。
こうした課題意識のもと、「副産物を資源化し、循環のなかで新しい価値を生み出す」という共通目的が明確になり、今回のフードループのプロジェクトが始動しました。
◆具体的な取り組み
フードループの仕組みは、以下のステップで循環しています。
🔼ビールかすの発生
ビールの製造過程で生じる大量のビールかす。これまで廃棄処理されることが多かった副産物です。
🔼ビールかすの堆肥化
横浜の環境保全会社が中心となり、ビールかすを堆肥化します。栄養豊富な堆肥は農業資源として高い価値を持ちます。
🔼農産物の生産
堆肥は村の農家に提供され、農産物の生産に活用されます。ビールかす由来の堆肥で育った農作物は、環境にも配慮した付加価値の高い農産物となります。
🔼製品化と提供
収穫された農産物は、横浜市内や村での商品化・飲食提供につながります。レストランや飲食店で提供されるほか、再びビール会社の取り組みと結びつける形で消費者に届けられます。
この循環は、単なるリサイクルにとどまらず、地域と地域を結ぶ循環型のビジネスモデルとして機能しているのが特徴です。
◆社会課題解決への効果
このフードループの取り組みは、複数の社会課題に対して効果を発揮しています。
🔼環境負荷の軽減
廃棄物として処理されるはずだったビールかすを資源化することで、廃棄物削減につながっています。また、堆肥を活用することで化学肥料の使用削減にも寄与し、持続可能な農業に貢献しています。
🔼地域連携の強化
市と村の協働は、都市と農村の新しい関係を築いています。水資源を通じた従来の関係に加え、農産物や食品を介した循環が生まれ、互いの地域が補完し合う仕組みが形成されています。
🔼経済的価値の創出
副産物を活用した農産物は新たな付加価値を持ち、販路の拡大やブランド力の向上につながっています。中小企業にとっては、環境配慮型の取り組みをPRすることで企業価値を高める効果もあります。
🔼市民の意識向上
このプロジェクトは横浜市のサーキュラー・エコノミー事例として公開され、市民に広く知られています。消費者が循環のストーリーを知ることで、購買行動やライフスタイルの変化を促すきっかけにもなっています。
◆課題と展望
一方で、この取り組みにはいくつかの課題もあります。
🔼コストと効率の課題
堆肥化や輸送にはコストがかかるため、事業としての持続性を確保するには効率化が求められます。特に中小企業が担う場合、補助金や自治体支援との連携が不可欠です。
🔼認知拡大の課題
まだ一部の市民や消費者にしか知られていないため、循環の価値を広く伝えることが必要です。教育活動やイベントを通じて、参加型の仕組みを構築することが期待されます。
🔼今後の展望
今後は、このフードループのモデルを他地域や他産業に展開することが目指されています。例えば、コーヒーかすやワインの搾りかすといった他の副産物にも応用可能であり、循環の幅を広げることで、より多様な社会課題の解決につながる可能性があります。
◆まとめ
ビール会社、環境保全会社、村の三者協働によるフードループの事例は、中小企業と自治体が連携することで、資源の循環と地域連携を実現する優れたモデルです。
副産物を資源に変え、農業や食につなげる仕組みは、環境的にも経済的にも価値を持ち、さらに市民の意識変革にも寄与しています。
この取り組みは、まだ発展途上にあり課題も残されていますが、循環型経済の実践モデルとして大きな可能性を秘めています。都市と農村、中小企業と自治体、そして消費者がつながることで、持続可能な未来を共に築いていく。その第一歩として、この事例は大きな意味を持っているのではないでしょうか。
◆お知らせ
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