【中小企業×中小企業】同業だからこそ生まれた災害地域での水産加工の共同化・新商品開発
目次
- ◆はじめに
- ◆参加企業紹介
- ◆コラボ背景と目的
- ◆具体的な取り組み
- ◆社会課題解決への効果
- ◆課題と展望
- ◆まとめ
- ◆お知らせ
◆はじめに
東日本大震災からの復興過程において、多くの地域産業は壊滅的な被害を受け、事業継続そのものが危機に瀕しました。宮城県気仙沼市の水産加工業もその例外ではありません。気仙沼は古くから日本有数の漁港として知られ、サンマやカツオ、フカヒレといった特産品が地域経済を支えてきました。しかし、震災では工場の倒壊や機械設備の流失、停電や断水による生産停止などが重なり、出荷が途絶える事態となりました。さらに、取引先の縮小や流通インフラの混乱が販路喪失を招き、個々の中小企業が自力で事業を立て直すことは極めて困難でした。
こうした状況の中、かまぼこ製造を手がける気仙沼と南三陸町にそれぞれ拠点を置く2社は、同業者でありながら協働する道を選びました。互いに競合関係にある企業同士が連携することは容易ではありませんが、「地域の産業を守る」という共通の危機感と使命感が彼らを結びつけました。製造設備の共同利用や販路の相互補完、人材育成における協力を通じて、両社は単なる事業再建を超え、新しい地域産業モデルの創出へと挑戦しました。
本コラムでは、両社の事例を手がかりに、震災からの復興を経て持続可能な地域産業を築くプロセスを明らかにします。
◆参加企業紹介
🔼気仙沼市老舗かまぼこ店
この企業は、気仙沼市で107年以上の歴史を有する老舗かまぼこ店です。地域に根ざした企業として、昔ながらの技術を守りつつも、消費者のニーズに合わせた製品改良を積み重ねてきました。震災では製造施設が大きな損害を受け、一時は事業継続が危ぶまれましたが、地域住民や取引先の支援を受けながら復興を遂げました。復興後は単に製品を供給するだけでなく、地域とのつながりをより重視し、地元の学校や観光資源との連携にも取り組んでいます。
🔼南三陸町老舗かまぼこ店
この企業は南三陸町に拠点を置く老舗のかまぼこメーカーで、その品質へのこだわりには定評があります。震災後は自社の事業再建と並行して、地域の水産加工業全体をどう再生させるかを模索しました。特に「自社の利益だけでなく、業界全体が存続しなければ地域経済は立ちゆかない」という視点を持ち、協働による産業基盤強化の道を選択しました。この姿勢は、他の事業者や行政との連携を広げる際の原動力となっています。
◆コラボ背景と目的
両社の協働の背景には、震災による設備の喪失だけでなく、震災前から続いていた構造的課題が存在しました。そのひとつが人材不足です。水産加工業は長時間労働や力仕事が伴うことから若い世代の就業希望者が少なく、震災後はさらに人材確保が困難になりました。また、原材料の調達や価格変動のリスクも大きく、単独の企業が対応するには限界がありました。
こうした中で、両企業は「同業だからこそ助け合える」という発想を共有しました。協力によって設備や人材の不足を補い合い、経済的負担を分散することが可能となります。さらに、両社の強みを掛け合わせることで、新商品開発や販路開拓といった成長戦略も描くことができました。目的は単なる震災からの再建ではなく、地域産業の持続性を高め、将来にわたって水産加工業を存続させることにありました。
◆具体的な取り組み
両社が進めた取り組みは大きく3つに整理できます。
🔼製造の共同化
震災で多くの設備が損壊した中、両社は残された設備を共有し、互いに製造工程を補完しました。これにより、新たな投資を抑制しつつ生産を安定させることが可能となりました。共同利用はコスト削減だけでなく、製造効率の向上や品質管理体制の強化にもつながりました。
🔼販路の共有・拡大
単独企業では難しかった販路開拓も、協働により新しい展開が可能となりました。共同で商品を開発し、百貨店や観光地の土産物店、さらにはECサイトを活用して全国規模の販売を実現しました。協働により、単なる販売先の確保にとどまらず、新しい市場へのアクセスやブランド価値の向上にもつながりました。
🔼人材育成と雇用確保
両社は互いの従業員を融通し合い、共同研修を実施しました。これにより技能の継承が円滑になり、熟練工不足への対応が可能となりました。また、地域内で安定した雇用を維持することは、被災地域における生活基盤の再建に直結しました。
◆社会課題解決への効果
この連携は、単なる企業経営上のメリットを超え、社会課題の解決にも貢献しました。
🔼地域産業の持続性確保
個社単位では困難だった事業再建が、協働により実現しました。結果として、水産加工業全体の基盤が強化され、地域経済の復興に寄与しました。
🔼雇用維持と人材育成
人材不足の深刻化を背景に、共同で人材を育成・確保する仕組みを構築できました。これは、若い世代が地域に留まり、働き続けるきっかけともなりました。
🔼新しい商品価値の創出
共同開発された新商品は消費者から好評を得て、地域ブランドの強化につながりました。地域資源を活用した商品は観光との親和性も高く、交流人口の増加にもつながりました。
🔼復興から持続可能性へ
震災直後の一時的な協力にとどまらず、持続的なビジネスモデルへと進化した点は大きな意義があります。これは、他地域の中小企業連携にとっても学ぶべき事例となっています。
◆課題と展望
もっとも、協働には課題も残されています。企業文化や意思決定の違いは避けられず、調整には時間と労力がかかります。信頼関係を維持するためには、日常的な対話や情報共有が不可欠です。また、需要の変動や原材料価格の高騰といった外部要因への対応も求められます。
今後の展望としては、さらに多くの地域事業者を巻き込み、「地元ブランド」としての発信力を高めることが期待されます。インターネット通販の拡充や海外展開の可能性も大きく、地域資源を活かした商品をグローバルに発信できるかが課題となります。
◆まとめ
この同業2社の連携は、同業の中小企業が競争よりも協働を選ぶことで、地域産業の持続性を確保した好例です。震災からの復興という極めて厳しい状況を乗り越えた両社の取り組みは、地域産業再生の象徴であり、中小企業同士の連携がもたらす可能性を強く示しています。今後もこのモデルが他地域に広がることで、日本各地の産業再生や地域づくりに大きな示唆を与えるでしょう。
◆お知らせ
🔼パーパス経営および具体的CO2削減施策の立案や企業存続のために採用強化や離職防止の施策に悩まれている方、お気軽に無料オンライン
相談をご活用ください。
お悩みや課題をお伺いし、解決策をご提案いたします!!
無料オンライン相談のお申し込みはこちらから
CrowdCalendarクラウドカレンダーとは、Googleカレンダーと連携し日程調整のあらゆる面倒を払拭するWebサービスです。crowd-calendar.com
🔼公式LINE始めました!!お友達募集中!!
最新情報をLINEで配信中!定期的にLINE限定のお得な情報をお送りします。
以下のリンクから公式アカウントを友だち追加できます。
🔼【中小企業対象!27年度大企業に対するサステナ情報開示義務化対応のための新サービス】
※全国対応可能
今すぐ資料請求する今すぐ無料相談を申し込むsasutenabiriti-anketo-nxpaelx.gamma.site