「リサイクルは“地産地消”の時代へ—中小企業連携が変える循環モデル」
目次
- ◆はじめに
- ◆企業紹介
- ◆コラボの背景と目的
- ◆具体的な連携内容と仕組み
- ◆社会課題解決への効果
- ◆課題と今後の可能性
- ◆まとめ
- ◆お知らせ
◆はじめに
今年、廃棄物問題と資源循環は社会的に重要な課題となっている。環境省のデータによれば、日本の一般廃棄物排出量は減少傾向にあるもの、2022年度時点で年間約4,000万トンに達しており、一応高い水準にあります。また再資源化率は19％台前半で推移しており、資源の高効率な循環にはまだ改善の余地が残されています。
この背景には、消費行動の多様化や製品寿命の短縮化があり、再利用を前提とした循環の仕組みづくりが求められています。しかし、リサイクル業界は、処理コストの上昇や資源価格の変動、地域単位での回収力不足といった課題を抱えています。
今回は、買取専門リサイクル事業を展開する企業と、地域の小規模リサイクル業者の協働による「地域循環型資源リサイクルプラットフォーム」（仮称）の連携事例を取り上げ、社会課題解決型ビジネスの可能性を考察します。
◆企業紹介
🔼企業１
全国で買取店舗を運営するリユース業界の企業で、ブランド品やアパレル、日用品に至るまで幅広く買い取りを行い、海外市場を含めた販売網を持つ点が大きな特徴です。
🔼企業２
地域の小規模リサイクル業者で、金属スクラップや古紙、廃プラスチックなどを中心に資源回収を担っています。地域住民や中小企業から資源を集め、地場の産業を支える役割を担っています。最近は人手不足や設備投資コストの問題から経営基盤が脆弱化する傾向があります。また、大手リサイクル企業と相対と販路や情報量で劣るため、資源の価値を十分に最大化できないケースも見られます。
◆コラボの背景と目的
このような現状を踏まえ、リユース企業と地域リサイクル業者が連携を図る背景には、以下の目的があります。
地域内資源循環の必要性：輸送や中間処理にかかるエネルギー消費を抑制し、地域単位で再活用を進めることで環境、負荷を削減したいという思いがありました。
🔼単独企業では解決困難な課題
リユース企業は消費財に強みがある方、金属や建材リサイクルには知識を持っていません。同様に地域業者は販路に弱さがあるため、相互補完が必要でした。
地域業社は、人手不足や設備投資コストの問題から経営基盤が脆弱化する傾向があると同時に、大手のリサイクル企業と比べると販路や情報量で劣るため、資源の価値を十分に最大化できないケースも見られていました。
🔼地域経済活性化
資源の価値化を地域内で循環させることにより、地場雇用や地元企業の経済基盤強化につなげたいという思いもありました。
◆具体的な連携内容と仕組み
🔼収集・選別・再資源化のプロセス共有
店舗を構えるリユース業社と地域の小規模リサイクル業社を連携させるためのプロットフォームを開発して運営を開始しました。
流れとしては・・・
店舗を構えるリユース業社で集めた商品を仕分けし、再販できないものを地域リサイクル業者に送ります。
一方、地域業者は、消費財分野で再流通価値を持つ資源をリユース業社に送ります。
この循環により効率的な利用が可能になります。
🔼情報共有システムや物流の効率化
在庫や必要状況をオンラインで共有する仕組みを整備することで、無駄な物流を削減しました。
また、輸送ルートの最適化や共同配送を導入し、コスト削減とCO₂排出削減を同時に実現しています。
🔼共同プロモーションや教育活動
地域住民に向けて「モノを捨てない暮らし方」や「資源分別の重要性」を伝えるキャンペーンを共同で実施しました。学校教育や地域イベントとわざわざ住民の意識を高める工夫も行われています。
◆社会課題解決への効果
この取り組みにより、以下の効果がすでに一部で表れています。
🔼廃棄物削減とリサイクル率の向上
環境省の廃棄物統計によれば、全国的にリユース・リサイクルの推進は一般廃棄物削減につながっています。リユース業社と小規模の地域リサイクル業者との連携により、さらに循環の幅が広がっています。
🔼地域住民の環境意識向上
共同で実施される啓発活動は、住民に「地域資源を地域で活かす」という意識を根付かせています。特に学校や行政と協働することで、次世代に環境教育を届ける取り組みが進んでいます。
🔼地域経済への打撃効果
リサイクル資源の売却益が地域内で循環することで、中小企業の収益基盤が強化され、雇用の維持や拡大も続いています。
◆課題と今後の可能性
🔼連携拡大の課題
リサイクル業者はそれぞれの事業規模や対象とするリソースが異なるため、プラットフォームに参加する企業間での調整が必要。
🔼制度面での課題
海外への販路拡大について資源の輸出入には規制があり、自治体の廃棄物処理計画との調整も必要です。 制度対応を含めた運営ルールづくりが求められます。
🔼他地域での展開
まだ、一部の地域での取り組みのため、今後の水平展開による規模の拡大が望まれます。
◆まとめ
この店舗を構えるリユース業社と地域の小規模リサイクル業社の協働は、中小企業同士が抱えている「強みの補完」と「弱みの補強」を協議した典型例と言います。
地域循環型ビジネスは、廃棄物削減や再資源化といった環境の価値だけでなく、教育的・経済的な価値も併せ持ちます。持続可能性を高めるためには、企業だけでなく行政や地域住民を巻き込む全体的な仕組み形成が重要です。
中小企業連携を基盤とするこのモデルは、循環型社会の実現に向けて一つの持続可能な方向性を示しており、今後の展開が期待されます。
◆お知らせ
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