中小企業こそSDGs経営に取り組むべき理由(第2弾)~実装・浸透・連携・評価のプロセス~
目次
- ◆SDGs経営はどこから始めればよいのか?
- ◆社内にどう浸透させるか?
- ◆ステークホルダーとの共創は可能か?
- ◆成果はどう測り、伝えるのか?
- ◆「SDGs疲れ」を防ぐには?
- ◆まとめ:持続可能な成長への道
- ◆お知らせ
◆SDGs経営はどこから始めればよいのか?
SDGs(持続可能な開発目標)は、2015年に国連で採択されて以来、世界中の企業や団体が取り組むべき指標となっています。大企業だけでなく、中小企業にとってもSDGs経営は避けて通れないテーマとなりました。しかし、「どこから始めればよいのか」「自社にとってどんなメリットがあるのか」と悩む経営者も多いのが現実です。
SDGs経営の第一歩は、「自社の存在意義や社会との関わりを問い直すこと」です。SDGsは単なる新規活動の追加ではなく、今の事業そのものが社会にどう貢献しているのかを再定義するフレームワークです。たとえば、地域密着型の製造業であれば、雇用創出や地元資源の活用がすでにSDGsの目標達成に貢献している場合も多いのです。
🔼中小企業におけるSDGs導入の一般的なステップ
(1)経営層の理解と腹落ち
まずは経営者自身がSDGsの本質と意義を深く理解することが重要です。SDGsは単なるCSR活動や社会貢献ではなく、「経営と直結するテーマ」であることを認識しましょう。たとえば、人口減少や労働力不足、気候変動など、今後の経営環境に直結するリスクや機会をSDGsの視点で捉え直すことで、経営戦略の再構築にもつながります。
(2)事業の棚卸とマッピング
次に、自社の製品・サービス・人材育成・調達・地域活動などをSDGs17の目標に照らして整理します。例えば、製造業であれば「つくる責任 つかう責任(ゴール12)」、サービス業であれば「働きがいも経済成長も(ゴール8)」など、日々の業務がどの目標に関連しているかを可視化することで、現状の強みや課題が浮き彫りになります。
(3)重点テーマ(マテリアリティ)の設定
SDGsの17目標すべてに取り組む必要はありません。自社の強みや地域社会との接点から、特に注力すべき分野(例:健康福祉、教育、働き方改革、資源循環など)を選定します。ここで重要なのは、「自社ならでは」の視点を持つことです。たとえば、地方の食品メーカーなら「地産地消」や「食品ロス削減」を重点テーマに掲げるなど、地域性や業界特性を活かした選定が効果的です。
(4)目標とKPIの設定
選定した分野について、短中期的な目標や具体的な行動計画、KPI(達成指標)を設定します。たとえば、「3年以内に女性管理職比率を20%に引き上げる」「廃棄物排出量を毎年5%削減する」など、測定可能な目標を立てることで、進捗管理や成果の可視化が容易になります。
(5)社内共有・対外発信
策定した内容は経営計画や事業戦略に組み込み、社内外へ「見える化」することが大切です。社内報や社外向けニュースレター、Webサイト、SNSなどを活用し、従業員や取引先、地域社会に自社のSDGsへの取り組みを発信しましょう。これにより、共感や協力を得やすくなり、企業ブランドの向上にもつながります。
◆社内にどう浸透させるか?
SDGs経営が単なるスローガンに終わらず、実効性を持つためには、現場の従業員の理解と主体的な関与が不可欠です。特に中小企業は「理念と現場の距離が近い」という特徴を活かしやすい環境にあります。従業員一人ひとりがSDGsを「自分ごと」として捉え、日々の業務の中で実践できる仕掛けが求められます。
🔼社内浸透のポイント
・ストーリーで伝える
SDGsは数字や記号だけでなく、「なぜ我が社が取り組むのか」「どう地域や顧客とつながるのか」といったストーリーで伝えることが大切です。たとえば、「地元の子どもたちに安全な食を届けたい」「社員が安心して長く働ける職場をつくりたい」といった具体的な思いを共有することで、従業員の共感や納得感が生まれます。
・身近な業務と結びつける
日々の業務の中にSDGsとの接点を見つけ、「この作業が地域や環境にどう影響しているか」を共有しましょう。例えば、資源の無駄を減らす工夫や、ペーパーレス化、エネルギーの節約など、小さな取り組みもSDGsの一部です。現場での気づきを積極的に共有することで、全社的なムーブメントが生まれます。
・小さな成功事例を称える
現場での改善活動や地域連携など、小さな成果を積極的に紹介・表彰し、手応えを実感してもらいましょう。例えば、社内掲示板や朝礼で「今月のSDGs貢献事例」を共有するなど、日常的に成果を見える化する仕組みが有効です。
・若手や多様な人材を巻き込む
SDGsは世代や価値観の多様性を尊重するテーマです。若手社員や女性社員が主体となるプロジェクトを立ち上げたり、外国人スタッフや障がい者雇用など、多様な人材が活躍できる場を設けることで、組織全体の活性化にもつながります。
◆ステークホルダーとの共創は可能か?
中小企業単独で取り組めるSDGs活動には限界がありますが、地域や業界、行政・教育機関などとの連携を通じて、より大きな価値創出が可能となります。これが「ステークホルダーとの共創」です。
🔼具体的な連携の事例
・自治体との包括連携協定
脱炭素、雇用、教育などの分野で自治体と連携することで、地域課題の解決と企業の信頼向上を同時に実現できます。たとえば、地元自治体と協力して再生可能エネルギーの導入や、地域住民向けの防災訓練を実施する事例も増えています。
また、さいたま市などで実施している『SDGs企業認証制度』を活用することは自社が所属する自治体と共創する最初に一歩として非常に有効です。
SDGs企業認証制度SDGs達成に向けた取組を推進する市内企業を認証し、支援しています。www.city.saitama.lg.jp
・学校や大学との協働
キャリア教育やインターンシップ、課題解決型の産学連携を通じて、次世代人材育成と企業認知の向上を両立できます。例えば、地元高校と連携して商品開発を行い、学生のアイデアを商品化することで、若者の地元定着にも貢献できます。
・取引先・業界団体との連携
持続可能な調達や資源循環、人権配慮などのテーマで取引先と目標を共有することで、バリューチェーン全体の価値向上を促進します。たとえば、業界団体を通じてエコ認証取得を推進したり、サプライチェーン全体でCO2排出削減を目指す取り組みも有効です。
・地域のNPO・福祉団体との協業
福祉や教育、環境保全に関する現場のノウハウと企業のリソースを組み合わせ、社会的インパクトを拡大できます。例えば、障がい者施設と提携して商品パッケージの組み立てを委託することで、就労支援とコスト削減の両立を図る事例などがあります。
◆成果はどう測り、伝えるのか?
SDGs経営の成果は「環境に優しいことをした」だけでなく、「経営や社会にどのようなインパクトをもたらしたか」を測る必要があります。定量的・定性的な評価を行い、社内外に分かりやすく伝えることで、信頼と共感が高まり、次のアクションや連携への好循環が生まれます。
🔼中小企業でも活用できる代表的なフレームワーク
・ロジックモデル(因果構造の可視化)
「活動」→「成果(短期・中期・長期)」の流れを見える化し、自社のSDGs貢献を体系的に説明します。たとえば、「地域清掃活動の実施→地域の美化→住民満足度の向上→企業イメージ向上」といった因果関係を整理することで、活動の意義を社内外に伝えやすくなります。
・SDGコンパス
国連グローバル・コンパクトなどが共同で開発したもので、企業がSDGsを事業戦略に統合し、評価・報告まで行うための5ステップを提示しています。中小企業でも、簡易版を活用して「方針策定→優先課題の特定→目標設定→統合→報告・コミュニケーション」の流れを実践できます。
一般社団法人さいたまサステナブル経営研究所では、このSDGコンパスにこれまで支援の経験から独自の手順を加えて、より策定しやすいオリジナル手法を用いて策定のご支援を行なっています。お気軽にご相談ください。
(後半のお知らせ部分をご確認いただき、HPよりお問い合わせください)
・統合報告書やサステナビリティレポート
財務情報と非財務情報を組み合わせて開示するレポートで、投資家や金融機関へのアピールにも活用可能です。中小企業では、簡易版のサステナビリティレポートやWebサイト上での発信が有効です。たとえば、「今年度のCO2排出量削減実績」「地域イベントへの協賛実績」など、具体的な数値や事例を掲載することで、透明性と信頼性が高まります。
◆「SDGs疲れ」を防ぐには?
SDGsという言葉が広まりすぎたことで、「何でもSDGsに当てはめればよい」「形だけ整えればよい」といった“SDGs疲れ”が起きているのも事実です。実際、「SDGsバッジをつけているだけ」「報告書を作るだけ」で終わってしまうケースも少なくありません。
🔼SDGs疲れを防ぐための視点
・“背伸び”しない
国際目標すべてに取り組もうとせず、自社に関係の深い2~3ゴールに絞って深掘りすることが大切です。たとえば、食品メーカーなら「飢餓をゼロに」「つくる責任 つかう責任」など、自社の事業と直結するゴールに集中することで、無理なく継続できます。
・“らしさ”を大事に
他社の真似ではなく、「自社らしい言葉・表現・優先順位」を明確にし、社員の納得感を高めましょう。たとえば、「地元の未来を支える」「家族の健康を守る」といった、自社のビジョンに根ざしたメッセージを発信することで、社内外の共感が得られます。
・“日々の仕事にこそSDGs”という視点を持つ
新しい活動を増やすのではなく、既存の業務をどうSDGs的に再定義するかを重視しましょう。たとえば、日常の清掃活動や省エネの取り組み、働き方改革などもSDGsに貢献する活動です。普段の業務の中にSDGsの視点を取り入れることで、無理なく持続可能な経営が実現できます。
・外部評価に振り回されない
SDGsはブランドや認証のためだけにあるのではなく、「本質的に社会や未来に価値を生む経営」を目指すものです。外部評価やランキングに一喜一憂するのではなく、自社の価値観やビジョンに基づいた取り組みを継続することが重要です。
◆まとめ:持続可能な成長への道
第1弾で述べたように、中小企業の本業にはすでにSDGs的な価値創出が内在しています。それを可視化し、社内外と共有し、評価・改善するプロセスこそが、SDGs経営の本質です。
第2弾では、実装・浸透・連携・評価という具体的なステップをご紹介しました。SDGs経営は一朝一夕で成果が出るものではありませんが、「自社の強み×社会課題=未来価値の創出」という視点で、一歩一歩着実に進めていくことが、持続可能な成長への道となります。
今後も、SDGs経営の実践事例や最新動向を紹介しながら、中小企業の皆さまが自信を持ってSDGsに取り組めるよう、情報発信を続けてまいります。自社らしいSDGs経営を、ぜひ一緒に実現していきましょう。
◆お知らせ
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